なごみだより

新米園長のひとりごと

「こども達に教えてもらったこと(4)」 (2015年12月)

現在、なごみでは午後の児童グループの集団活動の内容を決めるのに月初めに話し合い活動を行っています。そうやって、こども達主体で活動を決めることで、こども達の積極性や活動への参加意欲が高まったように感じます。しかし、話し合いをすると、こどものタイプによって色々と困ったことも起こります。自分の主張をはっきりと言えるお子さんは、周りの子の意見を聞かずに自分の意見ばかり発言してしまうことがあります。また、気持ちを言うのが苦手なお子さんは、自分の気持ちを上手く言えず、固まってしまうことがあります。ですので、話し合いの時にはスタッフが傍について、周りのこどもの気持ちに気付ける方法や、まずはスタッフが代弁しながら成功体験を重ねることで、徐々に自分で気持ちを言えるようになるスキルを身に付けていけるようにサポートをしています。

今後も、こどもの主体性を大事にしながら、社会性の獲得や周りの人の気持ちに触れて、学ぶことができる場を提供できればと思います。

こども発達・才能支援センター なごみ 施設長 秋月 正博

「こども達に教えてもらったこと(3)」 (2015年11月)

その日の活動終了後、スタッフ間で反省会を行いました。そこで、これまでの活動が「こども達が将来困らないために○○といった社会性を身に付けさせねばならない」という大人本位の視点に立った活動に偏りがちだったのではないかという反省に至りました。これまでになごみ通っていたこども達を見ていても、彼らが社会性や世の中のルールを学んでいく過程としては、気持ちの交流をして、その中で「この人のために○○をしたい」という気持ちが芽生え、自分達の意志で自然と獲得していくことが多いように感じます。我々の活動やメッセージが押し付けになってしまうと、学びの場にならない可能性がある。それを、この日の活動ではこども達に教わりました。

また、特にこの話し合いを通じてよかったと感じるのは「相手の気持ちに触れて考える」機会を、こども達と共有できたことだと思います。こども達は本当は野球をしたい気持ちだったけれど、バッティング活動ということで譲歩をしてくれました。スタッフとしては、元々はスタッフの考えた活動を行う予定だったけれど、バッティング活動をすることで、譲歩をしました。それぞれの立場での意見を聞いてその中で「折り合えた」という経験。この経験で得たものが真のソーシャルスキルだと思います。

こども発達・才能支援センター なごみ 施設長 秋月 正博

「こども達に教えてもらったこと(2)」 (2015年10月)

しかし、半年程経ったある日、活動の時間になった時にこども達のリーダー格のSくんが、「やりたくない!!皆行くぞ!!」とおもちゃ倉庫に、こども達を連れて立て籠もってしまったのです。正直、とてもあせったのを覚えています。彼らの主張は「おれ達は野球がやりたい」ということでした。そこで、当時の園長である五十嵐園長も駆けつけて、こどもグループと大人グループで話し合いが行われました。こどもグループの想いを掘り下げていくと、より具体的に気持ちが分かってきました。「いつも先生たちが決めた活動をやってばかりでつまらない。ルールも先生たちが決めてばかりだし。野球をやったほうが絶対におもしろい。」という内容でした。それに対して、「気持ちを教えてくれてありがとう。ただし、野球の試合になると、Sくんが断トツで野球が上手いから、一方的な試合展開になりそうな気がするから、何か工夫が必要だと思う。」という趣旨のことを伝えました。結果的に、話し合いの末、スタッフがボールを投げて、それをこども達が順番に打つという「バッティング活動」を行うということで折り合いがつきました。

こども発達・才能支援センター なごみ 施設長 秋月 正博

「こども達に教えてもらったこと(1)」 (2015年9月)

なごみでは2004年頃より就学児を対象に、SST(ソーシャルスキルトレーニング)を活動の中に取り入れています。当時、SSTという言葉が様々な講演会で多く取り上げられていました。なごみでも社会性を身に付けるための練習が必要であると考えていたため、試行錯誤していく中で、活動を始めました。まずは、対人関係が円滑にいくように、人の気持ちを考える練習をこども達でグループになり考える機会を持ったりしていました。また、集団遊びや調理活動をスタッフが考え、その中で決まってあるルールを守れるように練習していきました。当時、私は児童支援員としてなごみに勤め始めたばかりで、こども達が将来困らないためのスキルは何か、そしてなごみで教えられることは何かを、日々真剣に考えて活動に臨んでいました。

こども発達・才能支援センター なごみ 施設長 秋月 正博

「障がい年金勉強会を行いました」 (2015年7月)

6月21日に、社会保険労務士の飯塚泰雄先生に来ていただき障がい年金勉強会を開催しました。当日はなごみの保護者の方以外にも、竹田支援学校や大分なごみ園などを利用されてる保護者の方にも来ていただき合計32名参加してくださいました。請求までの流れや、その時にどういった準備をするかなど細かく教えていただき、他の講習会では理解が難しかったけれど飯塚先生の説明だと理解できた、医療機関との付き合い方の具体的なイメージが湧いたなど様々な声を聞くことができました。

私の感想としては「客観視して考えること」と「諦めないこと」が重要であると感じました。こどもの将来を見据えたうえで、いかにリアルに親なき後のこどもの姿を想像できるか、つまり客観的に捉えてこどもにとって年金サポートが必要かを考えること、そして必要であれば自信がなくても、諦めずに申請をしてみようという姿勢が大切であると。

聴きたかったけれど、都合がつかずに参加できなかったという方もいらっしゃったので、また折りを見て企画したいと思います。

なごみ園長 秋月 正博

「負の連鎖を防ぐ」(2) (2015年6月)

この負の連鎖を防ぐにはどうすればいいか。簡単なことです。標語にあるようにしかえしにはえ顔で返せばいいのです。負の感情に対して、正の感情で返すのですね。そして、相手の感情を正の感情に変えてしまえばいいんです。この考え方はなごみで大事にしている「受容的交流」という理念と類似しています。つまり、相手が自分の思いに沿わない行動をした時に、まずは相手の気持ちを推測し、初めにその気持ちに寄り添い、次に気持ちの交流をしながら解決策を導いていくという考えです。なごみでは、職員間でこの考えをベースにこどもと関わるようにしています。そうすることで、時間の経過とともに、行動や情緒の安定ができていくように実感しています。しかし、言葉で言うのは簡単ですが、日々の生活の中で、実行しようとすると案外難しいものです。例えば、親の言うことを聞いてくれないこどもに常に、笑顔で接することができるか、自分自身が親になってその難しさを実感しています。色々なことに対して自分一人の力では、負の感情に対して正の感情で返す心の余裕がない場合は、なごみに連絡をいただければ、その方法を一緒に考えていきたいと思います。

なごみ園長 秋月 正博

「負の連鎖を防ぐ」(1) (2015年5月)

たすけよう かなしいなみだ さようなら  しかえしは え顔で返せば なかなおり  なくさない あいてのきもち しるこころ

2012度の法改正で保育所等訪問支援事業という、なごみ職員による関係機関への訪問サービスが始まりました。徐々にサービスが浸透してきたことで、豊後大野市の小・中学校や保育園など様々な場所へ行く機会を頂いています。とてもありがたい話です。

去年の3月に豊後大野市の某小学校に訪問支援で行った時にある標語が目に留まりました。それが下の写真の真ん中にある「しかえしは え顔で返せば なか直り」という標語です。立派な考え方でとても驚きました。「え」の文字がひらがなということは小学生が作ったものなのかな?などと考え先生に聞いてみると、小学校3年生の女の子が作った標語のようです。

私たちの身近で起こる些細な喧嘩や、ニュースでも目にする悲惨な虐待事件など、ちょっとしたいざこざや、大きな事件まで「やられたからやり返す」という考えが根っこにあることが多いように感じます。つまりは負の感情の連鎖です。この負の感情のスパイラルに入るとなかなか抜け出せなくなります。この負の連鎖を防ぐにはどうすればいいか。この標語の言葉を参考に しながら、私なりの考え方を、なごみ だよりを通して伝えていきたいと思います。

 

なごみ園長 秋月 正博

「2015年度のなごみ」(2015年4月)

4月になり、なごみに未就学の頃から通っていたこどもたちも小学校へ入学しました。うれしそうに大きなランドセルを見せてくれたり、学校でどういう勉強をしたかを教えてくれたりと、これからの小学校生活に色々な思いをいだいているようです。

私自身も今年度より、なごみの園長という役割を拝命しまして、園長先生1年生となります。こどもたち同様、やる気や緊張や不安など様々な気持ちで4月を迎えました。役職は変わりますが、事務室に籠もって気難しい顔をしているのではなく、現場に積極的に出る、保護者の方やこども達にとって親しみやすい園長を目指していきますのでどうぞよろしくお願いします。

それとお知らせですが、今年からなごみ園は「こども才能支援センターなごみ」に名称を改めます。安心感や自己肯定感の獲得をベースとしながら、それぞれの通園児の持ち味を伸ばせるような、才能支援に力を入れた療育を行っていきます。

また、開所から13年が経ち、中には通園当初は未就学児だった方が成人式を迎えています。成人後の生活の安定を考えると、障がい基礎年金の受給が必要であるにも関わらず、充分な知識がないまま支援学校や高校を卒業する方もいます。そこで、社会保険労務士の飯塚泰雄先生による障害年金の基礎知識についての勉強会を開催することにしました。今回は、小学生以上の年齢の通園児家庭を対象に行います。6月21日の日曜日に予定しておりますのでぜひこの機会に、興味がある方はご参加ください。

こども才能支援センターなごみ園長 秋月 正博