なごみだより

コミュニケーション意欲について(2) (2013年11月)

このように先天的に人の気持ちへの興味や関心が低いこどもはコミュニケーションの力が育ちにくくなることから、私たちのような発達支援に携わる者は、本児が母親を始めとする人の気持ちに目を向けやすくなるように親子遊びや集団行動を工夫して設定したり、状況を分かりやすく整理して伝えると同時に、人の気持ちの部分に気付けるような配慮をしていくことが重要となります。

私たちが発達に遅れを伴うお子さんを支援するときに最も配慮していることは、「人は物と違い、気持ちを変化させる生きものであり、自分がその気持ちに配慮した行動をとらなければ心地よい風は吹いてこない」という人の気持ちに向かう視点を育てることです。この「やりとり」の視点を獲得することが表情やジェスチャー、言葉、文字などへのコミュニケーション意欲につながるとともに、生涯にわたる生きやすさにも影響してくることから、早期に獲得するために周囲の理解や環境を整えることが大切であるとも考えられます。

是非、なごみ園に来られたときには、スタッフと共にこどもの見えにくい気持ちを確認されてみてください。

こども発達支援センターなごみ園 園長 五十嵐猛

コミュニケーション意欲について(1) (2013年8月)

人は、乳児期に(母親のお腹の中からすでに始まってもいますが)泣いたら、母親がミルクを与えてくれる、おむつを替えてくれる、というような不快である状態を心地よい状態に変えてもらうようなやりとりを覚え、あやしたら共感のもとで笑ったり、自分の思いを伝えるために発声や言葉を身に付けていくといったように、コミュニケーションスキルを獲得していきます。

みなさんは、「クレーン現象」といわれる行為をご存知でしょうか。これは、自分の手の届かない物や、扱いにくい物に対して、自分の手の代役を母親の手を引いて求める行為です。しかし、お母さんの手は、いつも思い通りに動いてくれるわけではありません。何故なら、母親が、子どもが求める物を与えて良いものなのか、相応しくないものなのかを判断して、意図的に代役をつとめなかったり、家事が忙しくて手を離せず、こどもの要求に応じられない時もあるからです。そんな時、子どもは、いつも応じてくれるはずの手が動かないことに疑問を持ち、自然に母親の心情に気持ちを向け始めます。「何で、その手が代役をつとめてくれないのか」、母親の顔色をうかがいながら目には見えない気持ちの部分や状況などを推測して愛想笑いをしてみたり、言葉を通して要求を示したりしながら母親の気持ちを自分に向けようとか、気持ちを変えさせようと、コミュニケーションのレパートリーを広げていき、時には、大泣きすることで母親の気持ちを試してみるなど、周囲や状況を見ながら自然に人を動かす効果的な手段を獲得していきます。しかし、乳児期にあやしても笑わない、目が合わない、などといった母親との共感的・情緒的な交流部分に発達に遅れが目立つこどもは、この「クレーン現象」においても、母親の心情に目を向け、その思いを巡らせてみたりすることができにくいため、転がせば音が出る玩具が、いつでも転がせば音が鳴るときと同じように、いつも便利に動く手が、何で、急に動かなくなったりするのか理解することができにくく、癇癪をおこして大声を出したり、自分や母親をたたいてしまうことがあるわけです。

こども発達支援センターなごみ園 園長 五十嵐猛

ペアレントメンター研修会(2013年6月)

障がいのある子どもの保護者によるピアカウンセリングは、自閉症協会のような公の組織や、専門家の介入支援があるような相談会のみならず、研修や知識がない中でも自然発生的にも行われています。そうした中、共感や良心を伴う支援であるにもかかわらず、被相談者の技術が伴わないことによって、個への配慮を持たないままに偏った情報が流れ、相談者が深く傷ついたり、支援者側が問題を抱え込んでしまったりするといった、二次的な問題を抱えてしまうことも少なくはありません。そのため、保護者同士によるカウンセリング支援についての研修体制を整える流れが全国的にも展開されており、九州圏内では大分県と長崎県以外で実施されているような状況でありました。

こうした理由から、大分県でも各関係者からのご意見をうかがって情報収集をすすめてきたところ、大分県内で子育て支援センターが軸となってすすめている家庭訪問子育て支援「ホームスタート事業」の研修体制とネットワークの活用を大分県ホームスタート連絡協議会の会長である、すがお保育園土谷修園長よりご提案いただき、大分県子育て支援課からのご意見も仰ぎながら、大分県発達障がい者支援センター連絡協議会のご協力のもとで本研修会の実現に向けて検討をスタートしました。子どもに障がいがある・ないに関わらず、保護者同士が共感を以て支え合える場が求められていることに変わりありません。お互いの思いがつながっていく取り組みにしていきたいと考えておりますので、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

こども発達支援センターなごみ園 園長 五十嵐猛

2013年4月

平成25年4月26日に「おおいたなごみ園」が落成式を迎え、構想から3年をかけ、無事に発足することができました。これもひとえに、みなさまのご理解とご支援の賜であると感謝いたしております。スタートに伴い職員の異動もございましたが、更なる増員をかけ、スタッフの充実を図っているところであり、採用した職員は他の施設での経験や熱意のある者ばかりで、お子さんを始めご家族のみなさんが安心して暮らすことのできる地域づくりを目指して真剣に務めてくれています。私たち管理者も、みなさまのご期待に添えるよう、スタッフの専門性の向上も然る事ながら、ご利用いただきやすい環境づくりをすすめていくために、行政や関係機関のみなさんとの連携をより一層深め、地域療育の軸として、より皆様のご期待に沿えるよう努めていく所存でありますので、引き続き、ご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

こども発達支援センターなごみ園 園長 五十嵐猛

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。(2013年1月)

平成24年度は、あらたに保育所等訪問支援事業をスタートさせ、これまで以上に保育所を始めとする幼・小・中・特別支援学校との連携を密に行ってまいりました。また、社会福祉法人萌葱の郷が豊後大野市犬飼保育園の移管を受け、「いぬかい保育園」と「なごみ園」との交流も一層に深めることができました。これもひとえに、皆様からのひとかたならぬご支援のお陰であると感謝いたしております。

そして、本年は「おおいたなごみ園」の開設も予定しております。

これからも、皆様のニーズにお応えしていけるよう、私たちも一層に気を引き締めて努めていく所存でありますので、これからも「なごみ園」をご愛顧いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

皆様のご発展と益々のご健勝をお祈り申し上げます

こども発達支援センターなごみ園 園長 五十嵐猛