なごみだより

自閉症総合援助マネージャーの育成を始めます (2012年10月)

自閉症を始めとする発達障がい児(者)が安心して地域で暮らすためには、支援に携わる者が発達障がいの特性に関する専門的知識を有するとともに、発達障がいに関する福祉サービス等の利用について実例を通して理解し、ライフステージを通じた支援をマネジメントする専門性が求められます。

そうしたニーズに基づき、当法人が自閉症総合援助センターとして自閉症を始めとする発達障がい児(者)に提供する福祉サービスについて、自閉症を始めとする発達障がい児(者)への支援に携わる方々を対象に実施を含めた研修を行い、地域におけるケアマネジメント力が高まることを目指すことを厚生労働省の委託事業で始めることになりました。

詳細につきましては、大分県発達障がい者支援センターまでお問い合わせください。

大分県発達障がい者支援センター センター長 五十嵐猛

喜怒哀楽のすすめ!! (2012年7月)

育ちの基盤は、情動体験を思いっきりすることです。

なぜなら、情動体験はその人が生きるエネルギーの根源となる主体性を育むからです。

このエネルギーが育たなければ、何も始まらないと言っても過言ではありません。

であって、エネルギーのない所にいくら詰め込んでみても、パターン的に身に付くだけで、実生活での活用にはつながりません。

そのため、知識や教養を詰め込むことばかりが先行して情動体験を犠牲にしているようなことがあるのであれば、生活スタイルを見直してみることをおすすめします。

私たちも、勉強や趣味でさえも自分の思いが伴わなければ、継続しませんよね。

そうした目に見えにくい部分も支援できる専門性をスタッフ一同、極め続けていきたいと思います。

なごみ園 園長 五十嵐猛

誰もが安心して暮らせる地域づくりを目指して(2012年6月)

困難は、たった独りで立ち向かって改善したり、解決できるものではありません。人と人とが手を結び、多面的に支援ができる環境が整って初めて落ち着き、改善していけるものです。そのため、周囲に理解がない、孤立した状態が続いてしまうと、深刻な問題にまで発展し、障がいを強めることにもなりかねません。そして、これは、本人や一部の人の問題ではなく、誰もが直面する課題でもあることから、孤立に対して社会全体で立ち向かうことが問われ始めています。私たちは発達障がいに直面している方への支援を通して、人と人との関係性を支援することの重要性を学んできました。障がいに苦しむ人が減ることを目指すために、社会に発達障がいの理解を広めていくことが私たちの役割です。

これからも、共に支援の輪を広げていけるよう、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

こどもに寄り添う支援 (2012年5月)

こどもに寄り添うこととは、単にこどもの要求やサインに応じるだけではなく、こどもの表出に対する心理的な動きを読み取るスキルであり、私たちのように保育や療育にたずさわる者が磨き続けていかなければならない専門性です。そして、その専門性を追い求めながらこどもに関わるからこそ、私たちは大人になって忘れてきている純粋な気持ちに触れることができ、この仕事に感動を覚えることができるわけですが、こどもと関わることで癒される感を有しているだけでは一人前とは言えません。なぜなら、こどもの気持ちを読み取るだけでなく、それに応じられるスキルを持たなければ、発達支援にはつながらないからです。個々の発達段階に応じながら対応に変化をつけたり、環境を整えていく作業も専門性であって、その提供している内容がこどもの発達を停留させるような内容ではなく、促していけるものを目指していかなければなりません。

今年度も、職員一同、主観に偏らず、子供の目線に立つために意見交換を行うとともに、より良い環境を提供していくために家族を始めとする諸機関と連携していく所存であります。

ご理解とご支援のほど、よろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

なごみ園の新体制について (2012年4月)

平成24年度からは、障がい児支援強化にかかる制度が改正となり、あらたに幼児期「児童発達支援事業」と学齢期以降「放課後デイ」に事業が分けられることになりました。また、保育所等を訪問しながら各種相談に応じたり、こどもの支援内容についてコンサルテーションや共に支援内容の検討を行うといった「保育所等訪問支援事業」が新たにスタートします。この事業は、これまでなごみ園が自主的に行ってきた保育所や学校等への訪問と実質的には変わりないのですが、喜ばしいことに、保護者からの依頼をもとにして、正式になごみ園がお受けできるようになりました。制度の改正に伴い、何かとお手続きをいただくことも多くありますが、これからも、こどもたちへの支援がより充実されてるよう努めてまいりますので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

適応とは (2012年3月)

人は誰もが、何かしらの特性を抱えており、それが「個性」としてあらわれているところが魅力でもあり、素晴らしいところであります。しかし、その「個性」というくくりだけでは済まないくらい、社会の中で「生きにくさ」を抱え、「周囲からの配慮や支援」を必要とする若者が増えてきています。

彼らの中には、自分に合う学校や職業を見つけて、うまく適応できていく人もいますし、なかなか良い出会いに恵まれず、困難な障がいに遭われている方もいます。

そうした相談に応じていく中、人と関わる際に重要となるスキルは、「自分を知り、他人との違いを受け入れることであろう」と理解するようになりました。自己理解を深め、得意な環境を選択したり、苦手な環境を回避したりするスキルを身に付けていくことが、実は社会に適応していく上でも重要であるということを、彼らとの関わりを通して教わったように思います。

なごみ園 園長 五十嵐猛

心のバリアフリー (2012年2月)

先日、ある商社の社長から「バリアフリーが一番進んでいる国は、実は日本である」という話をうかがいました。私はいったん耳を疑いましたが、話の続きを聞いて納得しました。なぜなら、日本には街中にエレベーターや点字ブロックなどがたくさん整備されていたり、シルバーシートのように構造化が図られたりしている場面が数多くあるからです。しかし、どうでしょう、海外ではシルバーシートを敷くアイデアはないようです。なぜなら、「困っている人に配慮する」というジェントルマンの思想が根付いており、自然に配慮できているからのようです。社会の構造化が進み、利便性の高い環境が整備される中で、日本でも武士道のような精神を忘れてはいけないとあらためて考えさせられる機会になりました。

なごみ園 園長 五十嵐猛

2012年1月

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

旧年中は日常の業務に加え、全国大会の開催事務局となり、事務所の移転、法人20周年記念式典など、当センターにおきましても激動の年となりましたが、皆様との絆をあらためて意識させていただくことができ、新たな気持ちを以て新年を迎えることができました。これも、皆様からのひとかたならぬご支援のお陰と存じております。誠にありがとうございます。

発達障がいに関する支援につきましても、障害者基本法の中に正式に位置づけられ、支援体制の発展が望まれていく中、昨年度の東北大震災を教訓とし、災害時における自閉症をはじめとする発達障がい児者の支援体制においても、当センターの発行する発達支援登録書を通して避難体制の整備について検討をすすめているところです。このように発達障害に関する支援課題は広がる一方でありますが、絆を目指した支援ネットワークをすすめていくことで、地域の活性化、そして県民全体の豊かな暮らしを実現できる一如となれるよう、私たちも一層気を引き締めて、努めていきたいと存じておりますので、今後ともご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。

皆様のご発展と益々のご健勝をお祈り申し上げます

大分県発達障がい者支援センター センター長 五十嵐猛