自閉症療育

自閉症療育の前提

1. 人権を守る

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まず最初に申し上げたいことは、利用者の人権を守るということです。このことはごく当たり前のことのようですが、案外難しいことです。人権を侵害されても、自閉症者や知的障害者の場合にはなかなか自分から訴えられないために、残念ながらしばしばこのようなことが起きてしまいます。

援助者にその自覚がないことが特徴です。時には利用者のためによかれと思ってやっているそのことが人権侵害であったというケースもあります。そのことが問題を深刻にしているのです。人権を守るということが、単なるスローガンであっては意味がありません。

めぶき園で留意して取り組んでいることいくつか紹介いたします。

  • どんな理由があっても利用者に対して体罰を加えない。
  • 利用者に対して、高圧的、乱暴な言動をしない。
  • 利用者に対して、年齢に応じた呼称を用いる。
  • 利用者の私室に許可なく立ち入らない。
  • 利用者の希望や意見によく耳を傾ける。
 

2. ノーマライゼーションの実践

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次に大切なことは、ノーマライゼーションを実践することです。このことは今でこそ当たり前のことと考えられていますが、昭和40年代頃の施設は、養護に欠ける子どもや障害者を収容して最低限度の生活を保障するという考え方が主流で、例えば軍隊や刑務所のような画一的で、社会から隔絶した生活を強いる傾向がありました。

日本知的障害者福祉協会の機関紙(1996年9月号)に宮城県の自閉症児のお母さんが知的障害児施設を見学して、「刑務所の方がましだと、愕然として泣きながら帰った」という手記が載っていましたから、掛け声ばかりで、今でも実際にはそれほど実現されていないのかもしれませんが、めぶき園が目指していることを紹介いたします。

  • 年齢にふさわしいごく当たり前の生活の実現を目指す。
  • 管理主義、画一化を排し、個別的で家庭的な療育を目指す。
  • 障害が重くても仕事につき、余暇を楽しむ。
  • 普通の服装、普通の髪型をする。
  • お風呂に毎日入る。
  • 食器は瀬戸物の食器で提供する。