書籍「自閉症療育のコペルニクス的転回」
のご案内

 

 

このたび、五十嵐理事長が自閉症と共に半世紀、『めぶき園』を開設して30周年の筋目の年にあたり、大分県発達障がい支援専門員テキストとして、『自閉症療育のコペルニクス的転回』を出版いたしました。

今日までの様々な体験や現場で学んだ自閉症療育や対人支援の基本的な理念や支援のあり方を『萌葱の郷メソッド』として紹介する一方、不注意や自己本位の弱さから利用者の心を傷つけたり、亡くした痛恨のできごとや、「カリタスの家事件」と「津久井やまゆり園殺傷事件」を検証し、虐待を防止し、利用者主体の支援を実現するためには、スーパーバイザー養成が急務であることから、スーパーバイザー養成日本モデルを提案しています。

お手すきの際に、ご一読いただければ幸いです。

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自閉症と共に半世紀。重度棟の施錠撤廃・生活見直し・全員就学・福祉施設職員の地位向上に取り組み、利用者と支援者の関係性の視点に基づく実践から学び、発達や行動障害を利用者の課題とする従来の考え方から、支援者の課題とすることで見えてくる対人支援の基本的理念や支援のあり方を伝える自閉症支援や子育て支援に携わる人たちへのメッセージ

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感想文をいただきました

この度は、『自閉症療育のコペルニクス的転回』のご発行、おめでとうございます。また、ご本をご紹介いただけたこと、重ねてお礼申し上げます。

先生の講話は、SV研修の講義の中で拝聴することができましたが、施設創立を考えての全国行脚のこと、田村一二先生等との出会い等はご本を通して初めて知ることができ、先生のこれまでの歩みに、ただただ驚くばかりです。

書40頁では「差別者として謝り続けること」、69頁「社会化と称して施設化を図っているに過ぎないのではないだろうか」、78頁「受容とは」、85頁「清潔に保つことや壊れた場所を放置しないなどの基本的な課題も重要」、91頁「受容的交流療法の12ヶ条」、135頁「アトリエMOE」の取組、189頁「実践を通して学んだ行動障害支援の原則」、196頁「めばえスタッフとの取り組み」、211頁「給与」、225頁「スーパーバイザーの不在、研修や育成を軽視することが虐待構造を生み出す最大の原因」、266頁「自閉症療育のコペルニクス的転回」「自分たちの力量を棚に上げて障害のせいにしてすます」、269頁「当たり前の生活」、304頁「私の信条」など、大切なことに気づかせていただきました。創立者にこれだけのバックグラウンドがあるから、萌葱の郷の利用者、ご家族も職員も、安心して生き生きとできるのだと感じました。それぞれの項目はあらためて吟味していきたいと考えております。

本書では、先生の健康についても記されていました。今後益々の先生のご活躍を願うとともに、これからもご指導ご鞭撻をお願いしたいと存じます。どうぞご自愛下さい。

取り急ぎ、お礼申し上げます。

 

 

初めてお便りさし上げます。突然、お手紙さし上げる失礼をお許しください。

先日、「自閉症療育のコペルニクス的転回」の本を読ませていただきました。途中から泣きながら読んでいました。「そうそう、そうですよね。」と思わず声が出ていました。何と心に響く、温かい言葉なのでしょう。五十嵐理事長の情熱に心をうたれました。

私は介護福祉士の資格を持っているのですが、試験の時に出てくる「石井亮一先生」の名前を見て、びっくりした上に、「一麦寮」や「この子らを世の光に」など、福祉の歴史を勉強した時の名前等を見て、私の息子がめぶき園に入所できた事はすごい事なのだと思いました。

いろいろなエピソードを見ながら、昔は今よりも大変などという言葉では言いつくせないご苦労や環境があり、五十嵐理事長やたくさんの方々の努力があって、今の福祉があるのだと知ることができました。今ある幸せをあたり前だと思ってはいけないのだと切に感じました。

私たち親子が、萌葱の郷とのご縁、出会いが始まったのは、福祉の紹介ではなく、実は五十嵐康子さんが声を掛けてくれた事から始まりました。今思えば、運命のようにも感じられます。私が母子家庭であったことから、介護ヘルパーの資格を取りに受講していた時に、五十嵐康子さんに出会いました。その時は、五十嵐理事長のお名前を知らなかったのですが、他の受講生の方から五十嵐康子さんが、「もしかして五十嵐康郎さんのご家族の方ですか?私、子どもの教育の関係のグッズ持ってます。」と数人に声を掛けられていました。「お父様、新聞に載っている記事見ました。」と言っていた方もいました。同じテーブルに座っていた私は、「すごいですね。」と感想を伝えたところ、五十嵐理事長のお話、息子さんの猛さんが、福祉施設を立ち上げ、「ヘルパーの資格を取ってくれ。」と頼まれて受講している事を聞きました。五十嵐康子さんの明るい人柄にふれ、心が和んで私の息子が自閉症であることをお話しました。「旦那に話しとくから遊びに来て。」とお誘いいただき、『なごみ園』に伺い、五十嵐猛様に初めてお会いしました。猛さんは、「おう!!よく来たなぁ!!」と大きな声で、満面の笑顔で私たち親子を迎えてくれました。その時の事を思い出すだけで涙が出ます。私たち親子を歓迎してくれるなんて…。そんな施設は今までなかったからです。走ってボールプールに飛び込む息子を一回も静止せず、危ないからなどとも言わず、「おーぅ、遊べ遊べ!!」と言ってくれた猛さん。「本物だ。この人はすごい人だ。信頼しても良い人だ。」と思いました。

本を読んで『本物』である理由が分かりました。石井先生の指導を受けた方だったとは、びっくりしました。息子はなかなか人に心を開かず、他害行為もあるのですが、初対面の猛さんには、「大好き!!」という動きをして、心を開き、一緒に遊べていました。「尊敬、リスペクト!!」の一言につきます。その出会いから、「ホームヘルプサービスセンターらすかる」の利用を始めさせていただき、新生支援学校を卒業するのと同時に、めぶき園へ入所させていただきました。福田先生、野上先生、神野先生、能一先生、山口先生、たくさんの職員の先生には、日頃から息子に愛情を注いていただき感謝しています。入所してから、偏食がなくなりました。母親一人では、どうしようもできなかった事を、乗り越えることが出来て、本当にうれしく思っています。今ではメニュー表を見て、めぶき園での食事を楽しめています。

私は5年間、ある施設で障がい者支援の仕事をしていました。私の体調が優れなくなった理由で、6月に退職する事になりましたが、支援員の仕事にはやりがいを感じ、情熱をもって取り組めていました。すばらしい仕事だと今でも思っています。本の中にも支援に関する内容が書かれていて、私がやってきた事は間違っていなかった。と思えたのと同時に、なんて間違いをしていたのだろうと反省することもたくさんありました。「私たちは、障がい者に謝り続けなければならない。」という文章を読み、本当にその通りだと共感しました。同時に障がいのある方々と過ごす日々はとても楽しく、私に生きがいと、共に生きる喜びを与えてくれました。一旦、仕事としては支援員を辞める事となりましたが、五十嵐理事長の本を読み、心の奥にまだ障がいのある方々と関わっていたいという気持ちが残っていることに気付きました。これからは、自分の出来る事を探して実行していこうと思います。

この本は、支援員にこそ読んでほしいと思いました。教科書のようです。大切なことがたくさん書かれていました。利用者さんに対して、どのように対応すれば良いのか。環境を整える事の大切さ。肯定的に接せるには、どうすれば良いのか。それによって利用者さんが変わっていける事。チームの大切さ…とても勉強になりました。支援員をしている時は、自分の思いが強くなり、大きな声で対応してしまったり、利用者さんの気持ちに寄り添う事ができず、悩んだり、「これは虐待になるのではないか?」と常に思いながらも優しくできない自分が嫌になったりしていました。

職員間の不調和が、利用者さんへの強い支援になってしまう事もあったと思います。その「どうすれば良いのか?」の答えが、この本には宝石のようにちりばめられており、一人でも多くの支援員が、この本に出合ってくれる事を願っています。

私はペアレントメンターの資格を取らせていただきました。これからは、親への支援も大切になってくると思います。本に書かれていた内容の事、支援に必要な愛情、障がいのある子どもも親も大切で皆を幸せにできる必要な存在である事を伝えていけるようなそんな人間になれるよう私は努力していきたいと思います。

とりとめもない文章で失礼いたしました。本を読ませていただいた事に感謝の気持ちと感想をお伝えしたくお手紙を書きました。本当にありがとうございました。

末筆ながら、くれぐれもお体をお大事に、ご自愛のほどお祈り申し上げます。

かしこ
   

令和三年六月十八日