なごみだより

謹んで新春のご挨拶を申し上げます。(2015年1月)

旧年中は、児童発達支援センターになって最初の年ということもあり、幼児検診に子育てアドバイザーとして参加したり、保育所等訪問支援による小・中学校との連携を積極的に行うなど、手探りながらも、地域の療育の核としての役割を担えるように活動を行ってきました。

また、12月にはなごみ園主催で「豊肥地区児童発達支援ネットワーク研修会」としまして、豊後大野市と竹田市の福祉や教育、保育、保健の関係機関で集まって、研修会と検討会を開催しました。結果として、先進地の静岡の取り組みを関係機関で共有することや、密な情報交換と議論を行えました。

今年度も、なごみ園に通っていただいてるお子さんに丁寧な療育活動を行っていくことはもちろんのこと、豊肥地区におけるより良い発達支援体制が整備されるよう尽力していきます。

皆様のご発展と益々のご健勝をお祈り申し上げます。

こども発達支援センター なごみ園 管理者 秋月 正博

2014年9月

保育コーディネーターQ&Aについて 8月号からの続き

5.コーディネーターの実際

コーディネーターには、こどもの特性やおかれている生活環境などに応じて、具体的には、以下のような働きが求められます。

  • 情報の把握と伝達

    Aさんは、B保育園の子育て支援センターとコーディネーターを兼ねています。B保育園には、車いすを使う児童と軽度の知的障害の児童の他、広汎性発達障害の児童が1人、広汎性発達障害の疑いがある児童が2人、注意欠陥多動性障害(ADHD)の疑いがある児童が3人います。Aさんは、障害の診断がある児童も含めて、疑いのある児童が誰であり、その担任や家庭状況、通っている医療機関や療育機関などについて、発達支援ファイルなどの作成を通して把握するとともに、未診断の児童についても健診をふまえて保健師等と情報交換を行います。

    また、Aさんは、これらの児童が保育園外で受けている支援について経過報告をしたり、園内全体で共通理解をしたりしながら適切に支援するための情報提供や検討をすすめる「園内委員会」のチーフ役も務めます。

  • 個別の指導計画の作成

    保護者からの要望や関係諸機関からの情報を参考にしながら、個別の指導計画を担任と作成するとともに、発達支援ファイルを管理します。発達支援ファイルは、医療機関や福祉機関における支援内容の他、本人の特性や発達上の変化、配慮点などを整理して記載するものです。このファイルを通しながら、進級や進学に向けて引き継ぎをしたり、園内の支援体制を計画したりします。

  • 連絡、調整として

    療育機関や児童発達支援センター等での様子を保育園に伝えるとともに、保育園での様子を児童発達支援センターに伝えます。また、支援計画や配慮点について、保育園だけで判断できにくい場合には、関係諸機関と連絡を取り合い、保育園の職員に伝達します。保護者からの相談にも対応します。園内における発達支援の理解を深める研修の企画や実施を行います。

6.おわりに

園や地域の実情に合わせながら、保育支援コーディネーターの配置や役割について検討を深めるために、保育コーディネーターと関係諸機関による連絡会が定期的に開催されることが望まれます。

2014年8月

保育コーディネーターQ&Aについて 7月号からの続き

3.どのような連携支援が考えられますか?

園内の職員と保護者による対象児童への共通理解、園外の専門諸機関(療育機関、児童支援センター、児童相談所、学校)と情報を共有することで、役割遂行をスムースに行っていくことができます。

4.担当者のスキルや立場は?

発達上に特別な配慮が必要な子どもの器質的側面や、こどもの発達に与える環境についての知識や理解を有しているとともに、園内外での調整役として適切な判断や協力、支援ができる力量が求められることから、副園長や保育経験が豊富で動きやすい立場の方が最適であると考えられます。

(次号につづく)

2014年7月

これまで、なごみだよりでもお伝えしていました「保育コーディネーター」についてのQ&Aを連載していきます。なごみをご利用の方にも広く知っていただき、ご理解につながれば幸いです。

保育コーディネーターについて Q&A

1.はじめに

発達の偏りを防ぐために早期療育支援や、要保護児童家庭等への保護支援を進める上で関係諸機関との調整役を果たす「保育コーディネーター」を養成する研修が大分県でスタートしました。この保育支援コーディネーター(以下「コーディネーター」に略す)が各保育所等に位置づけられていくことによって、地域の子育てに専門的な支援の充実が期待されています。

2.なぜ、コーディネーターが必要なのですか?

発達上に特別な配慮が必要な子どもの養護と教育については、担当する職員が保護者、外部の専門家と連携していくことで、その特性やニーズに応じた適切な支援ができ、2次的な障害や予防するだけでなく、将来の自立生活に向けたより高次の発達を促すことができるからです。

(次号につづく)

2014年6月

平成26年5月28日、当法人設立の立役者であり、恩師でもある石井哲夫先生(日本保育協会理事長、前自閉症協会会長)が永眠されました。昨年11月に別府でいただいた講演会が、石井先生の最後のご講義になられたことを秘書の方から伺い、その重みをあらためて感じているところです。私は先生から直々に、保育や自閉症療育を通しながら受容的交流理論を学び、人と人が互いに理解や共感を持つことで折り合い、助け合って暮らしていけていることに気付くことができました。様々な困難を抱える人に対して、どんな技術や方法論を以って支援をしても、受容的交流理論への気付きがなければ、みなさんとの信頼関係を育むことや、適切な支援をすすめていくことはできなかったものと思われます。

私たちは、石井先生のライフワークであった「受容的交流理論」を継承し、保育や自閉症療育の世界のみならず、社会の中で人との関係に躓き悩みを抱える人達を支えていくことをあらためて決意しています。みなさまからも、引き続きご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

社会福祉法人萌葱の郷 総合子育て支援センター
児童発達支援センター なごみ園
いぬかい子育て支援センター
いぬかい保育園
センター長 五十嵐猛

保育コーディネーター研修がスタートします(2014年5月)

なごみだよりでもお伝えしてまいりました保育コーディネーター研修が6月から大分県で正式にスタートすることになりました。

本研修会は、核家族化や少子化による地域の子育て力の低下、家庭の経済的・社会的要因、あるいは器質的要因から特別な支援や配慮を要する児童に対して、生活の場である保育所や認定こども園が関係諸機関と連携しながら発達の保障を目指すとともに、地域の子育て支援ニーズにも幅広く応えていくことを目的にしております。

なごみ園としても、この機会に保育所との連携を強化し、児童発達支援センターとの併用による支援をすすめていきますので、より一層のご理解とご支援をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

児童発達支援センター なごみ園 五十嵐猛

全国発達障害支援スーパーバイザー養成研修のお知らせ(2014年4月)

日本ではスーパーバイザーの不足から教育や福祉の現場でのスーパービジョンがおざなりにされ、理解不足や間違った支援の結果、二次障害が生じることも少なくありません。そのため、発達障害児・者への支援を行う発達障害者支援センター、自閉症関係施設職員及び発達障害児・者の医療、保健、福祉、教育、労働の各分野の実務に携り、一定程度以上の実務経験のある方を対象に、第一線でご活躍されている講師陣による講義と全国自閉症者施設協議会加盟施設での実務研修、さらには当事者の方々への支援や事例研究などを通して関係機関・団体及び地域の核となるスーパーバイザーの養成を全国自閉症者施設協議会事務局である当法人が、日本財団の助成を受けて開催することになりました。つきましては、こども発達支援センターなごみ園も実習地として全国から受講生が来訪され、皆様にはご不便をおかけすることも予想されますが、発達障害児・者の豊かな暮らしに向けて、何卒ご理解ご支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

社会福祉法人萌葱の郷 理事長 五十嵐康郎

2014年3月

なごみ園は、平成13年に犬飼町の委託事業による10名の利用者からスタートしましたが、市町村合併や様々な福祉制度の改正に伴って利用者が増え続け、平成25年度には80名を超す利用登録を受けるほどになり、大分市内にもなごみ園を開設したところであります。また、当園は、大分県の支援者養成機関としても活用され、利用ニーズとともに関係諸機関から受ける注目も広がりつつあります。こうした実績をもとに、大分県からのバックアップで豊後大野市の療育拠点となる児童発達支援センター化を目指しているところでありますが、既存の建物では医療的なニーズを含めて対応ができにくいといった課題が残ります。

こうした理由から、平成26年度に豊後大野市の管理を離れて民間に譲渡される予定の犬飼町保健センターを児童発達支援センターなごみ園として活用させていただき、そこにいぬかい保育園にある子育て支援センターを併設することで、市民の子育て交流や子育て支援に柔軟に対応できる体制を目指していきたいと考えております。

また、この動きに合わせて、いぬかい保育園を平成27年度からスタートする子ども子育て支援新制度の下で幼保連携型の認定こども園に移行し、幼稚園、保育園、子育て支援センター、児童発達支援センターが併設する総合的な子育て支援体制を犬飼町保健センター周辺に整えることも可能です。これらが実現すれば、豊後大野市は既存の施設を活かすことでお金をかけずに大分市のホルトホールに引けをとらない子育て支援の充実を図られ、市の活性化につながることが見込まれます。

また、こうしたハード面のみならず、職員の専門性の向上を目指した研修制度として、大分県発達障がい者支援専門員養成研修の他、大分県子育て支援コーディネーターの育成を平成26年度から県の事業として大分県保育連合会を中心にスタートさせる予定があり、いぬかい子育て支援センター並びに、なごみ園は本研修の視察機関ともなっています。

本構想は、児童の10人に1人は支援ニーズがあると言われている社会情勢の中で、子育て家庭の幅広いニーズに応えていけるモデル的な体制をとることができ、大分県内のみならず、全国的な評価が受けられることが予想されます。

どうぞ、子育て支援の充実に向けて皆様からもご支援をいただきますよう、お願い申し上げます。

社会福祉法人萌葱の郷 総合子育て支援センター長 五十嵐猛
(児童発達支援センターなごみ園、 いぬかい子育て支援センター、いぬかい保育園)

「地域の子育て支援に向けて」(2014年1月)

新年、あけましておめでとうございます。

旧年は、いぬかい保育園や子育て支援センターとの交流の場を設けていただき、誠にありがとうございました。

いぬかい保育園のこども達は保育所において、多くの職員や友達がいる集団の中で直接的なやりとりを行うだけでなく、地域のいろいろな人に触れる機会を有しています。しかも、これらの機会は、専門的かつ愛情の深い職員がいる守られた環境のもとで得ることができていることから、少子化や無縁化が進む地域社会の中で、在宅で過ごしている子どもに比べて社会的な体験や、自己意識の面で発達の差が生じることが考えられるようになっています。

もともと、保育園は他者との共感的体験や気持ちに触れる経験に恵まれていることから、自他を意識しやすくなるとともに、周りとの価値観の共有をもとにしながら模倣を繰り返し、社会的・集団的なスキルが向上するといった、学習環境が整っているところでもあります。学習はメディアなどの間接的な情報を得るよりも、直接的な体験を通した方が効果的であることが科学的にも立証されており、本人の器質のみならず、環境によって人の行動が変化することも知られているように、子どもの過ごす環境が発達に与える影響が大きいことを疑う余地もなく、その環境づくりにおいても、様々な機関が研究、実践、発展させてきています。

平成27年からは、子ども・子育て支援新制度がスタートされますが、その中で保育所が地域で生かされる機能を高めるためにも、なごみ園のような児童発達支援センターで積み重ねられてきた実践について、保育所を通してより広く地域に還元できるシステムを築きたいと考えておりますので、今後も一層のご支援をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

本年も皆様のご発展と益々のご健勝となることをお祈り申し上げます。

いぬかい保育園・なごみ園 園長 五十嵐猛