なごみだより

発達支援登録証のご登録のお願い (2011年12月)

平成22年6月1日、大分県発達障がい者支援センターECOALが大分県内の方を対象に発達支援登録証を発行することを大分県発達障がい者支援センター連絡協議会から承認されました。この登録証は、大分県内で発達支援を必要とされている児・者が、各市町村の中で適切な支援を受けられることを、イコールを始め、大分県発達障がい者支援センター連絡協議会や大分県発達障がい者支援専門員が支援をバックアップすることを保証したものであり、今後、この登録証を通して、災害時などの緊急時に特性に応じた配慮や支援を受けられるような支援体制を整えていくことも予定しています。更に、今後、生活に必要な情報提供や支援ニーズの調査などを行っていきたいと考えておりますので、ご登録をすすめていただきますよう、よろしくお願いいたします。

大分県発達障がい者支援センターECOAL 五十嵐猛

めぶき園20周年、なごみ園10周年 (2011年11月)

めぶき園が20周年を迎えると同時に、なごみ園も10周年を迎えました。当初は、たった数名の利用から始まった事業でありましたが、この10年間の間に100名以上の方に利用していただけるとともに、私たちの「関係性」を視点においた発達支援に理解を示し、支えてくださる仲間も広がりました。

この10年を振り返ると、本当に数多くの関係者をはじめ、地域の方々や学生ボランティアと共に過ごした日々が「心の育ち」と「暮らし」の後押しになってきたことに気づかされます。本当にありがとうございました。

これからも、みなさんと一緒に肯定感を育む活動を続けていくことはもちろん、みなさんの10年後、20年後の姿を一緒に喜び合えるよう、豊かな暮らしの創造に努めていく所存でありますので、変わらぬご支援をいただけますよう、よろしくお願いします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

進路選択に向けて (2011年10月)

来年度の進路について本腰で考える時期に差し掛かってまいりました。この進路とは、お子さんの様子や環境によって適性は様々ですし、どの選択にもプラスやマイナスの結果も生じてくることから、一概に正解は言えません。そこで、私はこのように考えるようにしました。お子さんと一緒に担任や相談できる人から情報を集めたり、重んじたい学習や環境の優先順位を整理したり、実習や体験できる場を探していくプロセス自体が、お子さん自身の「人に支えられながら選択する」といった、自立に向けてとても大切な経験や支援者を得ることにもつながるのだと。いわゆる、そのプロセス自体にも大きな意味があることを理解したわけです。最善の道を見極めることはもちろんですが、そのプロセス自体にも価値を生み出せるよう、スタッフ一同、応援させていただく所存であります。

なごみ園 園長 五十嵐猛

大分県発達障がい者支援センターECOAL事務所移転のお知らせ (2011年9月)

大分県発達障がい者支援センターECOALの事務所を「なごみ園」から「どんこの里いぬかい」に移転しました。これは、当センターが大分県の中で注目が高まるにつれて「なごみ園」を出入りする方が増えて駐車場や部屋を使用する頻度が高まったことにより、利用児童やみなさんにご負担をおかけしているということと、来訪者から「アクセスがあまり良くない」といったご意見をいただくとともに、当事者からの相談者が増えてきたという理由から、発達障がいの方が地域貢献・社会貢献を目指して働いている姿をみなさんに応援していただけることを期待しつつ「どんこの里いぬかい」の敷地内にある「発達障がい情報センター」に移転することにしました。ここでは、みなさんが自由に閲覧いただけるよう、発達障がいに関する情報を集めてお待ちしております。御通りの際には、ぜひお立ち寄りください。

なごみ園 園長 五十嵐猛

「バリアフリー」から「ユニバーサルデザイン」へ (2011年8月)

「バリアフリー」とは、人を隔てたり、行動を妨げたりする障壁(バリア)を取り除いた状態をあらわす言葉としていろいろな場面で使われており、その形態もさまざまです。しかし、「障壁(バリア)=障がい者」というイメージが強くあることから、「バリアフリー」とは障がい者に対する限定的な対策として捉われやすくなっており、多様性や平等性の側面に欠けるという点で指摘を受けるようになっています。たとえば、建物にエレベーターを設置しても、それを利用する障害者が居ないために動かしていないとか、点字ブロックに子どもが躓いて怪我をするなどといった問題があげられています。

こうしたことから、「バリアフリー」に対してもう一歩踏み込み、誰もが平等で公平に利用できるアイデアを「ユニバーサルデザイン」という言葉を用いて表現されるようになりました。障がい者にとって優しい環境は、誰にとっても優しい環境であるということが共生社会に向けての現実的な取り組みにつながっていくわけですから、支援者には、この「ユニバーサルデザイン」の視点を有した支援設計や相互理解に向けて仲介的な役割を果たすことが求められるようになりつつあります。つまり、障がい者にだけ目を向けるのではなく、障がい者とともに社会貢献や地域貢献を果たすことが福祉施設職員に求められてきているわけです。なごみ園でも、みなさんのお子さんが、将来、社会の中で活躍されることを目指し、スタッフ一同、応援を続けさせていただく所存であります。これからもよろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

障害者基本法改正に伴う期待 (2011年7月)

障がい者と健常者の共生を目指す障害者基本法改正案が6月15日衆院内閣委員会にて、全会一致で可決されました。本改正案は、東日本大震災にて車椅子利用者の身体障害者が逃げ遅れたり、聴覚障害者が防災無線を聞き漏らしたりした実態を踏まえ、国と自治体に障害者の生活実態に応じた災害対策を義務づけるなどの防災・防犯対策を新たに盛り込まれています。また、「発達障害」についても障害者の定義として正式に明記されたことから、今後、国際的な水準に向けて支援環境の整備が急速に進むことが予想されます。しかし、実態に即した支援環境を実現していくためには、当事者や保護者、支援関係者の方々からの支援や制度に対する要望が最も重要です。これからも皆さんのご意見をお聞かせください。

大分県発達障がい者支援センターECOAL 五十嵐猛

マイ・ファイルのすすめ (2011年6月)

ご自分の成長の記録はありますか?

もし、ご自身に支援を要するとき、あなたは言葉でうまく伝えられるでしょうか?

相手に、自分の「困り」や「願い」が正しく伝わるでしょうか?

もう少し、「こんなことに気を付けてほしい」、「こんなことを気にかけてほしい」、と周りに望むことは、私たちにも日々あることです。

そうした「思い」を上手に伝えられる人、不器用な人、人はそれぞれです。

しかし、いつでも、だれに対しても「思い」を上手に伝えられるものではありません。

「発達支援ファイル」は、自分の「思い」を人に伝えることが不器用な人をサポートする目的で作成したのですが、最近、このファイルが誰にでも役立つことに私自身が気づき、ただいま、スタッフ間でもマイ・ファイルを作成中です。このファイルを通してお互いが確認し合えること、支えあうべきこと、そして、新たな発見があることを期待しているところです。

みなさんも、お子さんのファイルと合わせて、ご家族やご自分の成長の記録を整理されてみてはいかがでしょうか?

大分県発達障がい者支援センターECOAL 五十嵐猛

「休息」「お守り」「儀式」 (2011年5月)

彼らを理解しようとする時に「こだわり」という言葉が使われることが多々あります。これは、理解できにくい行為をさして使われることが少なくありませんが、彼らにとっては、この「こだわり」は、生活の中で欠かせないいろいろな意味が込められています。例えば、新学期のように新しい環境の中で気持ちが落ち着きにくいときには、この「こだわり」がよく使われます。それは、予測のつかない不安定な状況の中で、「こだわり」に没頭することでストレスをおさえようとしていたり、変化から自分を守るために防衛的になっていたり、成功に向けてウォーミングアップをしている時などにあるようです。こうしてみてみると、形は違うけれども、実は、私たちが普段、生活の中で行っている「休息」「お守り」「儀式」と同じような意図で「こだわり」が使われていることがわかります。そして、そういった見方で彼らの「こだわり」を1つのサインとして受け止めていくことが、本人の気持ちの理解や支援につながる手がかりにもつながっていくものと私たちは考えています。また、この「こだわり」の形が一人ひとり違うように、その意味も多種多様でもあります。そんな「想い」を一緒に考えられる場として、「なごみ園」をご活用ください。

なごみ園 園長 五十嵐猛

なごみ園10周年を迎えて (2011年4月)

こどもたちの発達を促す上で、私たちがベースにしてきたことは「共感」を育むことです。そして、そのために、個々の興味や嗜好を探ったり、自分の気持ちが先行していないかどうかを職員同士で確認し合うようにも心がけてきました。また、この「共感」の輪が広がることを期待して、日々の活動を工夫したり、なごみの会の開催、地域の関係諸機関と交流を深めることなどにも務め、この10年間でたくさんの仲間をつくることができました。本当に、みなさんには、いつもなごみ園を大切にしていただいていることを、職員一同、あらためて感謝申しあげる次第です。

また、新年度を迎えたばかりの時には、なかなか新しい環境に馴染めず、戸惑われることも少なくないであろうと存じます。そんな関係づくりの第一歩としては、まず、こどもたちと「共感」できるものを探り当てていくことで、その後の「安心感」や「信頼関係」、「発達支援」にまで広がることを私たちはなごみ園のこどもたちに学びました。そして、みなさんと一緒にこどもたちの「育ち」を共感することも、私たちの励みになりますので、ぜひ、これからも何か発見や悩みなどございましたら、お話いただきますよう、よろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

東日本大震災から… (2011年3月)

東日本大震災においては未曾有の事態となりました。東北地方では多くの方が被害に遭われ、関東にまで混乱をまねく事態となっており、みなさまも何らかの形で被災地や仲間などに支援をされていることと存じます。

私たちも、日々のニュースを前にしながら「できる限りの援助をしたい」「自分は何ができるだろうか」「必要とされている支援とは何なのか」と、いろいろな意見を交換しつつ、こうした思いを持つこと自体がコミュニケーションスキルを育てる上で大切であることを気づき直したところです。そうした中、私たち「なごみ園」に求められていることとは、こども達が障がいの枠を超え、困っている人に向けて自分なりの援助を考えていけるような「有用感」を育てることであり、その力をライフステージを通して発揮できるような環境を整えていく役割があることを再確認しました。これからも、こどもたちの「がんばり」が実を結ぶようにスタッフ一同精進してまいりますので、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いします。

なごみ園 園長 五十嵐猛

がんばり賞 (2011年2月)

社会は、普通の人に合わせた環境がつくられやすくなります。そのため、ハンディキャップのある方は、常に生活の中で不自由さを感じざるを得ません。生活の中で「がんばる」場面が何倍もあるわけです。ですから、障がい者にがんばっていない人がいるはずはなく、状況や周囲の期待に合わずにトラブルに発展する可能性がある「こだわり」でさえも、それを果たすために、がんばっていることが少なくありません。

こうして考えてみると、「こだわり」自体を否定することは「がんばる」ことを否定することにもつながってしまうことになります。ですから「こだわり」に対しても、作業に活かしたり、働くことのモチベーションにつなげるなど「がんばる」方向を導いていく支援がとても大切になってきます。「こども達のがんばっていることと、こども達にがんばってほしいこと、そして、その目標やそのプロセスなどをみなさんと一緒に共有しながら伝え合う支援をすすめる」方針のもとで、この「がんばり賞」も一つの機会になることを期待しています。ぜひ、こども達の「がんばり」について、いろいろなご意見や情報をお聞かせください。

なごみ園 園長 五十嵐猛

2011年1月

あけまして、おめでとうございます。みなさん、年末・年始はいかがでしたでしょうか?ゆっくりと過ごすことができたでしょうか?それとも、あわただしく過ぎ去ったような印象をお持ちでしょうか?

なごみ園も今年で9年目の年明けを迎えましたが、年々、忙しくなっているように思うのは、私だけでないと思います。情報が氾濫していく中で選択肢や判断能力が求められるとともに、それを処理するスピードも求められ、なかなか、じっくりと自分のことを見つめ直したり、周囲の状況を理解する、相手の気持ちを深く考えたりする余裕を持ちにくくなっています。このような社会の中で、独りで考えたり、判断しながら行動したりしていると、当然、選択ミスや行動修正が求められ、パンクさせられてしまいます。現代社会に求められるスキルは情報処理能力に違いないわけですが、実は、この情報処理能力には合わせてコミュニケーション能力も問われてきているように思います。なぜなら、自分では判断できないことが増え、それを解決していくために、他者の意見や支援を必要とする機会が増えているからです。そして、このコミュニケーション能力を支えていくためには、お互いを支え合う意識を忘れないように持つことが大切なのではないでしょうか。「自分だけ良ければよい、得をすればよい」というのではなく、「自分も相手も満足するためには、どのような選択をすればよいのか、行動したらよいのか」ということを考えられるスキルや価値観を持つことが、生きやすさにもつながることだと私たちは考えています。そして、こんな社会であるからこそ、いつでも自分のことや子どものこと、周囲の仲間や友達のことをじっくりと考えられるような場所として、「なごみ園」で働き続けていきたいとも考えています。

本年もよろしくお願いいたします。

なごみ園 園長 五十嵐猛